江戸期に多くの志士たちの魂に火をつけ、傑出した人物を輩出した指導者といえば、
佐藤一斎の右に出る者はいないかもしれません。
約150年前の日本の大転換期、幕末の動乱期に、多くの英傑を育成し、
国を動かした志士や新政府高官の多くは、一斎の直弟子、
あるいは孫弟子にあたる人物です。
時代を動かした人材を育てた系譜
直弟子で有名な方としては、佐久間象山、山田方谷、横井小楠など、
幕末から明治にかけての日本を動かした逸材が挙げられます。
その象山の門下からは、勝海舟、坂本龍馬、吉田松陰らが輩出されました。
さらに吉田松陰の門下生からは、高杉晋作、久坂玄瑞、木戸孝允、伊藤博文、山県有朋
などが出ています。
弟子筋ではありませんが、西郷隆盛も一斎の『言志四録』を愛読し、
そこから百一箇条を選んで『手抄言志録』を著したことで知られています。
「志有るの士は利刃の如し」
そんな佐藤一斎は数多くの魂に響く言葉を残していますが、
志について次のような含蓄ある言葉があります。
「志有るの士は利刃(りじん)の如し」
まさに、志のある者は鋭利な刃(やいば)のようなもので、
多くの邪念や魔物も払いのけるだけの力があるという意味です。
後の文章では、志のない人は切れない刀のようなもので、
子供にも馬鹿にされると語っています。
自分が誰かを思い出す
今年は丙午の年。情熱や熱い想いが象徴される年だからこそ、
志を軸に生きることの大切さを改めて感じています。
ただ、志とは高く掲げる壮大な目標のことではないように思うのです。
むしろ、自分が本当は誰なのかを思い出すこと。本来の自分を思い出せば、
やるべきことは自ずと見えてきて、自然とそれをやるようになっていく。
そして、それは誰にも止めることができないものです。
それぞれが本来の自分に立ち返り、そこから生まれる行動は、
自分自身にとっても、周りの人にとっても、社会にとっても、未来にとっても、
そして過去から続く人類の残念な想いを昇華させることにとっても、
良きものになっていくのではないでしょうか。
そんな想いを大切にしていれば、きっと邪念も跳ね除ける力が湧いてくるはずです。
そのような気持ちを胸に、日々の在り方を大切にしながら、
自分自身と向き合っていきたいと思います。
参考文献:『佐藤一斎一日一言』(致知出版社)
参考までに、
第166回 『三学戒』(佐藤一斎)
第103回 『春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む」』(佐藤一斎)
第32回 『利は義の和なり』(山田方谷)

義母の折り紙作品(天馬)2026年丙午