良寛さんといえば、江戸時代後期の曹洞宗僧侶でありながら、
歌人、漢詩人、書家としても活躍された多才な方として有名です。
人間味あふれる人柄が、多くの日本人に愛されています。
69歳の恋
そんな良寛さんは、69歳の時に恋に落ちました。相手は39歳年下の貞心尼です。
良寛さんは最初2通の恋文を送りましたが、
貞心尼は師匠への気兼ねがあってか返事をしませんでした。
すると良寛さんは3通目の手紙に「返事をしないとは何事だ」と
怒りを込めて書かれたそうです。本気だったんですね。
慌てた貞心尼が「いついつ伺います」と返事をすると、
今度は手紙を受け取った良寛さんが眠れなくなってしまったそうです。
本当に人間くさい良寛さん。ここが良寛さんの魅力でもありますよね。
その時の気持ちを詠んだ歌が、
「いついつと まちにし人は 来たりけり 今はあひ見て 何かおもはむ」です。
そして貞心尼が訪ねてきて、しばしの時間を楽しんで帰っていくと、
良寛さんはその背中を見ながら祈られたそうです。
「帰り道の峠には一本の栗の木がある。その栗の木から落ちた栗のとげが、
どうかあの尼さんの足には刺さらないでくれ」と。
本当に純粋な恋心が、この祈りの中に込められています。
最期の歌
良寛さんは74歳の時、貞心尼に看取られて亡くなられました。
最期に遺した歌が、今回ご紹介する有名な歌です。
「うらを見せ おもてを見せて ちるもみぢ」
自分の弱さ、脆さ、醜さ、いやらしさ、すべてをあなたにはさらけ出すことができた。
だから、私は安らいで死んでいける。
本当に最高の境地だったのではないでしょうか。
弱さをさらけ出すことができるということは、本当に素晴らしいことです。
そんな良寛さんのように、私もすべてをさらけ出せる勇気ある人間になりたい。
このお話を教えてくださったのは、多くのプロアスリート、政治家、
経営者などに魂の人間教育をされてきた行徳哲男先生です。
現代社会において、日本人としての「肚」とは何かを伝えてくださっている
貴重な先生です。
少しでも、皆様の魂が喚起されるきっかけになれば幸いです。
参考 『第209回 六然観』(良寛)
『感奮語録』(行徳哲男、致知出版社)
