日本における東洋思想の第一人者である安岡正篤先生は、
数多くの国家を代表する方々を指導されてきました。
その先生が残された言葉の中から、今回は含蓄のある、
噛みしめて自分のものにしたい言葉をご紹介します。
相反する二つの言葉
但惜身命(たんじゃくしんみょう)と不惜身命(ふしゃくしんみょう)。
この二つの言葉は、相反する意味合いを持っています。
私たちが今こうして生きている瞬間は、まさにわずかな時間であり、
何よりも大事なものです。だからこそ、一寸も惜しむべき時間などないとも言えます。
そのような背景から、「但惜身命」という言葉が生まれたのかもしれません。
一方で、取りとめのない日常や時間の身命など、値打ちはないのではないか。
何に命をかけるのか。真に道を得るためにこそ、命がけで命を使うべきではないか。
そういう側面もあります。それが「不惜身命」という言葉です。
陰陽を合わせた極意
この二つの言葉について、安岡正篤先生はこう仰っています。
「但惜身命なるが故に、不惜身命。不惜身命にして、但惜身命」
どちらか一方をとるのではなく、どちらとも同時に意識する。
まさに、陰陽を合わせたような東洋思想の極意がここにもあるように感じました。
これができるのが、きっと人生の達人なのだと思います。
一生かかっても、そのような意識になれるかわかりません。
それでも、少しでも近づけるよう、日々魂を磨いていきたいと思います。
参考文献:『安岡正篤一日一言』(致知出版社)
