「今さら干支の話?」
そう思った方こそ、ぜひ読んでいただきたいと思い、今回のテーマにしました。
年が明けた1月、あちこちで「今年の干支は〇〇」という話題で盛り上がります。
おせち料理と一緒に、年賀状と一緒に、
干支の話はお正月の風物詩としてさらっと消費されていく。
でも正直に言います。わたしはいつも、
1月にその話を聞くたびに「もったいないな」と感じていました。
なぜかというと、干支の本当の意味は、お正月に飾るものではなく、
一年を生き抜くための地図だからです。
春が来て、新しい年度が始まり、
新しいメンバーと新しい目標を前にしたこの時期こそ、
干支という地図を広げてみるのに、ちょうどいいタイミングではないでしょうか。
2026年の干支「丙午(ひのえうま)」とは何か
2026年は「丙午(ひのえうま)」の年です。
丙(ひのえ)は、さらに進み拡大していく火(陽)のエネルギーを象徴しています。
午(うま)も同じく、激しい火や炎を象徴するエネルギー。
この二つが重なる丙午は、60年に一度しかめぐってこない、
強烈なエネルギーを持つ年です。
だからこそ、そのエネルギーを丁寧に扱わないと大やけどするような気もしていますし、
上手に使えば大躍進するような流れも生まれると感じています。
また両方の視点から見ると、発展と興隆(陽)はまだ続く一方で、
今年が分岐点となり、来年以降に向けた備えを怠ると
急降下することも視野に入れておく必要がある、慎重な年周りでもあります。
情熱、変革、突破。そして時に、衝突。
歴史を振り返ると、丙午の年には大きな変化や出来事が多く起きてきました。
それほどに、この年のエネルギーは激しく、強い。
だからこそ、この年をどう生きるかが問われます。
火は、使い方次第で「破壊」にも「光」にもなる
丙午のエネルギーは、扱い方を間違えると他者との衝突や摩擦を生みます。
「自分が正しい」「変えなければならない」という強い確信が、
周囲との対立につながることもある。
しかし同じ火や炎でも、内なる情熱を社会を照らす光へと昇華させるとき、
それは人を動かし、組織を変え、時代を切り拓く力になります。
この年に問われるのは、「あなたの炎は、誰かを傷つけていないか?」
「あなたは、周りを温めているか?」ということかもしれません。
身近な人との衝突に、要注意
丙午の激しいエネルギーは、
実は一番身近な人との関係に影響が出やすい年でもあります。
心理学に「投影(プロジェクション)」という概念があります。
自分の中にある感情やエネルギーを、無意識のうちに相手に映し出してしまうことです。
たとえば、自分の中に「変わらなければ」という強い焦りがあるとき、
それが相手への苛立ちとなって出てくることがあります。
「なぜあの人は変わらないのか」「なぜわかってくれないのか」という感情の多くは、
実は相手の問題ではなく、自分の内側が映し出されたものかもしれません。
丙午の激しいエネルギーをそのまま周りにぶつければ、家族との言い争い、
職場での衝突、大切な人間関係のひびわれにつながりかねません。
大切なのは、相手を変えようとすることにエネルギーを使わないこと。
「なぜあの人はこうなんだ」と思ったとき、
少し立ち止まって問いかけてみてください。
「これは自分の中の何かが、相手に映っているのではないか?」と。
相手を変えることはできません。しかし自分を整えることは、今すぐできます。
丙午の年のエネルギーを、他者への怒りや批判に使うのではなく、
自分自身を磨き、整えることに注ぎ込む。
それが、この年を豊かに生き抜く最大の秘訣です。
丙午の年を生き抜く、5つの心がけ
1、アンラーニング(学びほぐす)を恐れない
今まで「正しい」と信じてきたやり方や常識を、
一度手放してみる勇気が必要です。変革の時代に、
過去の成功体験にしがみつくことが最大のリスクになることがあります
「捨てることで、新しいものが入ってくる」。そんな柔軟さが、
この年には特に求められます。
2、コンフォートゾーン(安全な場所)から一歩だけ踏み出す
大きな変化は必要ありません。
ただ、今いる場所から「一歩だけ」外に出てみる。新しい人に会う、
新しい視点を持つ、新しいやり方を試してみる。
その一歩の積み重ねが、激しい変化の時代を自分のものにしていきます。
3、心身一如 ― 身体を整えることが、人生を整える
「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があります。
心と身体はひとつであり、切り離すことができないという意味です。
丙午の激しいエネルギーの中で、心だけを強くしようとしても限界があります。
睡眠をしっかり取る、身体を動かす、食事を丁寧にとる。
そういった日常の積み重ねが、心の安定と判断力を支えます。
逆もしかりで、心が乱れているとき、身体にも必ずサインが出ます。
肩が凝る、眠れない、食欲がない。身体の声を無視せず、
丁寧に聴いてあげることが、この激動の時代を乗り越える根っこになります。
外の世界が激しく動くときほど、心と身体をひとつに整えることが、
何よりの力になるのです。
4、自灯明 ― 自分という灯りを、自分で灯す
お釈迦様が亡くなる間際に弟子たちに残した言葉があります。
「自灯明(じとうみょう)」
自分自身を灯りとしなさい。自分自身を拠り所としなさい。
他のものを拠り所にしてはならない、という意味です。
変革の時代は、正解がどこにもありません。
誰かが答えを持っているわけでもなく、昨日の常識が今日の非常識になることもある。
そんな時代に最後に頼れるのは、自分の内なる声であり、
自分が積み重ねてきた経験と価値観です。
自灯明とは、自分勝手に生きることではありません。
しっかり学び、深く考え、自分の軸を育て続けること。
その灯りが明るければ明るいほど、周りの人も照らすことができます。
丙午の炎と、自灯明の灯り。この二つが重なるとき、
あなたの人生は力強く輝き始めます。
5、中長期の視点を持つ ― 焦らず、しかし止まらず
丙午の年は、単独で見るのではなく、前後の流れの中で捉えることが大切です。
2024年・2025年は、種を蒔き、静かに力を蓄える時期でした。
そして2026年の丙午で、その種が一気に芽吹こうとしている。2027年・2028年は、
その芽をどう育てるかが問われる時期になるでしょう。
つまり今年は、「仕込んできたものを一気に動かす年」であり、
同時に「焦って動きすぎると空回りする年」でもあります。
戦略的に、しかし情熱を持って。この両輪を回すことが、この時代を生き抜く知恵です。
最後に ― 対話と相互扶助という根っこ
どんなに強いエネルギーの年であっても、
人は一人では生きられません。
心身一如で自分を整え、自灯明で自分の軸を育てながら、
同時に周りの人と深くつながっていく。
この両方が揃ったとき、丙午の炎は破壊ではなく、確かな光になります。
丙午の炎は、一人で燃やすより、仲間と一緒に燃やすとき、より大きな光になります。
周囲との対話を大切にし、困っている人に手を差し伸べ、変化を恐れずに柔軟に受け入れる。
そんな精神性が、激動の時代を豊かに生き抜くための、
一番の羅針盤になるのではないでしょうか。
1月に聞き流した干支の話を、春のこの時期に改めて胸に置いてみてください。
きっと、見えてくるものがあるはずです。
自分という灯りを灯し、仲間と共に照らしていく。
それが丙午の年の、一番美しい生き方なのかもしれません。
私自身も、今年は自分自身をフルモデルチェンジする覚悟で過ごしています。
一緒に、今年の丙午という年を力強く駆け抜けましょう!
参考文献:『干支の活学』安岡正篤 著(プレジデント社)
