東洋思想の根本には「心身一如」があります。
心も身体も自然の道理に従い、どのように生きるべきかを教えてくれる智慧です。
今回ご紹介する野口晴哉さん(1911-1976)は、この観点から人間の本質を捉えた素晴らしい方です。
野口さんは12歳で関東大震災を体験し、焼け野原で苦しむ人々に本能的に手をかざしたところ、
多くの方が快復されました。これをきっかけに治療家の道を志し、
最終的に「社団法人整体協会」を設立。病を治すことよりも、
人間本来の力を引き出すことに重点を置かれました。
野口さんは次のように述べています。
「“風邪は万病のもと”という言葉に怖がって、
風邪を自然に治るものだということを忘れてはいけない。
風邪は治さなければ治らないものだと思い込み、
なぜ風邪を引いたのかという体の偏りを正すことを忘れてしまうのは良くない。
体を整え、生活を見直し、自然に治るのを待つことが大切である。
このようにすれば、風邪が体の大掃除となり、体を守る働きをしてくれることが分かる」
この考え方は、現代の「すぐに薬で治す」という発想とは根本的に異なる智慧だと思います。
実際、我が家でも風邪を引いた時はできるだけ安静にして、
無理に薬で抑え込むのではなく、自然治癒に任せることを心がけています。
また、私たち現代人の多くは夏にクーラーや扇風機なしには生きられない暮らしをしています。
しかし野口さんは次のように警告されています。
「背には涼風を長く受けない事。湯上りの汗を扇風機で乾かさない事、
特に汗をかいた赤ちゃんを風通しの良い場所に寝かさない事。
クーラーの前は最もいけない。クーラーの風を直接身体に受けぬことが特に必要
汗は拭くこと。これが第一、汗を引っ込ませると、下痢、風邪、神経痛に化けてしまう」
なかなか耳が痛い話ばかりですが、この暑さと向き合いながら、
本来の身体に無理や負担のない生活を心がけていきたいものです。
参考文献:「風邪の効用」(野口晴哉著 筑摩書房)

明治神宮